いわんや

 できるはずもないし、する必要もないが、すぐになにごとも完璧にしようとしてしまう。

 

料理をするとき、レシピに「大さじ1」と書かれていたら、大さじ1を測らないと気が済まない。

なにかを勉強するとき、教科書の「この教科書の使い方」から読まないと気が済まない。

アイロンを掛けるとき、シワひとつ残したくない。

 

 

最初にも書いたが、できるはずない・する必要もないとわかっているのだ。

しかし、やっぱり完璧というものを意識してしまう。

そして、どうせやっても完璧にできないのだから、最初からやらなければいいとやめてしまうのである。

 

なにか趣味を見つけても、最初は成長して楽しいのだが、そのうち自分の限界が見えてきて、「あ、これは完璧にできないな」とか「プロのレベルまでは到底到達することはできまい」とやめてしまう。

 

この癖?に気づいたのは、本当に最近のことである。

詳しいきっかけは忘れたが、確かお金がなくて外食できず、久しぶりに自炊しなければならなくなったとき、空腹を満たせればいいと思って作った料理が意外と美味しかったときであったと思う。

なんだ〜適当に作ってもまぁまぁおいしいじゃん。とその時は何気なく食べていた。

 

昔から「お前は料理にハマりそうなのに、ハマらないな」とよく言われていた。

自分でも確かにそうだな〜と思うこともあったのだが、一回もハマることなく、むしろほぼ毎日外食の日々であった。

どうしても「料理」となると、レストランで出てくるようなモノを作らなければならないという意識が働いていたのだと思う。

魚料理を作るときは、捌くところから、いや釣るところから始めなければならない。

パスタの茹で汁は塩分濃度1.4%。沸騰して水が蒸発していくが、果たしてどう1.4%を維持すればよいのだろうか。

こういう謎の義務感・恐怖心があったのだ。

自炊なのに。

 

しかし、何気なく作ったごはんを食べたとき、おいしいのである。

これでよくない?と思えた瞬間、なんだか生きるのが楽になった気がした。

なんでその時はそう思えたのかわからないが、まぁそれでよいではないか。

自分のことであっても完璧には理解できないのだ。